古い家

「遺産」

なにやら魅力的な言葉です。個人的に遺産がもらえるとなったら、どれだけのものがもらえるのか、わくわくしながら遺産の内容を確認するでしょう。

家が一軒、あなたのものになりましたと仮定します。

いったい誰がくれたのでしょうか?

あなたのお父さんのお兄さん、つまり伯父さんが遺してくれたものです。

あなたは、伯父さんのことなど全く知りません。

既に、お父さんは亡くなっているし、生前、伯父さんの話などほとんどしなかったからです。

どうして伯父さんは甥に家を遺したのでしょうか?

いえ、正確には遺したというより、後始末を押しつけられたといったほうが正しいのかもしれません。

孤独死により事故物件となった家の始末が、身内の1人であるあなたに押しつけられたのです。

空き地、空き家の占める面積は、九州全土と同じだけの広さになるといいます。

土地や家は誰かが相続するものと思われていたのですが、どうやら違ってきているようです。

想定外の遺産である空き家を贈られたとき、もらうべきなのか、それとも放棄するのか、どうするのがいいのか考えていきます。

目次をパッと開く

孤独死事故死などの心理的瑕疵物件とは

男性二人の絵

家の中で亡くなった場合、残された家すべてが瑕疵物件になるわけではありません。

親族の方やご近所の方の通報で、救急車で病院に運ばれたとか、その場ですぐに警察の検視が入ったような場合は、単なる病死として扱われることがほとんどです。

瑕疵物件となってしまうのは、死因が病死ではなく、事件に巻き込まれてしまった場合や、死後すぐに発見されることなく、放置されていた場合などです。

遺された住宅がまだ築年数も新しく、そのまま売却したいと思った場合、瑕疵物件であることの告知が必要です。

告知義務のある物件は、評価額より安く売ることになります。隠して売っても、後で発覚した場合、裁判になる可能性がありますから、正直に申告するべきでしょう。

もしマンションなどでそのような事故があった場合は、その部屋だけではすみません。両隣、および上下の部屋が売買されるときにも、その部屋であったことを告知しなければいけません。

ご遺体が室内にどれぐらいの間そのままになっていたか、それによっては専門の清掃業者を呼んで、室内のクリーニングを頼まないといけなくなります。

費用は汚れの程度によって違いますが、5万から50万ぐらいはかかると思っておいたほうがいいでしょう。

クリーニングでは足りず、リフォームも必要になってくるかもしれません。建物ごと売却しようと思うなら、事故物件はかなり金額がかかることを覚悟する必要があります。

孤独死した家を譲られたらすることは

パトカーと警察間2人

まず住んでいる人が亡くなると、警察が親族を探し出して連絡してきます。

連絡された人は、そこから他に身内がいないか、調べなければいけません。

警察でも調べてくれますが、司法書士に依頼するのが一番確実で早いです。

遺産を受け取れる親族には、限りがあります。結婚していない、子供もいない人の場合、遺産を相続する順位は父母、兄弟姉妹となります。

その人たちがすべて亡くなっている場合は、甥と姪に相続権が移ります。甥と姪の子供には相続権はありません。

もしこれらの親族がすべていないとなったら、遺された財産は国庫に納められます。

大型の金庫

相続人の通知がきて、遺産を相続する気持ちがあるなら、警察に出向いて手続きをしなければいけません。場合によっては、身内であることを確認するために、DNA鑑定が必要になることもあります。

身内と確定したら、警察からは銀行の通帳、現金などの資産と家の鍵が渡されます。この頃にはご遺体はすでに葬儀社に送られているでしょう。

連絡がくるのに数ヶ月かかっているような場合は、火葬されていることもあります。

室内の清掃代金、葬儀社への支払い、家の相続手続き、それらにかかるお金が遺された現金や預貯金で賄われればいいのですが、故人に資産がない場合、負債までも遺産として受け継ぐことになります。

家を売ればそれらも支払えると考え、いざ売ろうとしたら他に身内がいることが判明しました。

そうした場合、その新たな相続人から、相続した遺産の処分に対する同意の書面に、署名、捺印をもらわなければいけません。

親戚といっても、ほとんど会ったこともない相手です。簡単に同意してくれず、配分でもめたりすることもあります。

そうなると家は売れず、どんどん傷んでいくばかりですし、さらには相続したさいの固定資産税もたまっていくことになってしまうのです。

相続放棄をするとどうなるのか

面倒なことばかりで、たいした金額にもならない。もういいからと相続放棄をしてしまえば、それで終わりになります。もう1人の相続人がすべて相続することになり、負債も払わずにすむのです。

もう1人の相続人も放棄してしまったら、その家のある市町村が代理人をたて、未納だった税金などを回収するという目的のために、売却という手続きをとります。

自治体がそれまでにかかった費用や、未納の税金を回収して残った金額は国庫に納められます。

こういった処置が行われていない空き家は、相続人がいるのがわかっていても、連絡がとれない場合がほとんどなのです。

どうせもう1人も放棄するなら、相続したほうがよかったかなとお思いでしょうか。では相続したほうがいいか,放棄したほうがいいのか、遺産となった物件から考えてみましょう。

瑕疵物件でも売れるもの

古い家
市街地にある家なら、面倒なこともがまんして相続することをおすすめします。

建物の内部が、清掃してもやはり回復しないようなら、更地にして土地を売ることを考えましょう。

またはその更地で、自ら駐車場を経営するということも考えられます。

家の解体は、土地が30坪から40坪、建物が120㎡ほどの物件ですと、150万円から200万円ほどで更地にできます。土地が市街地で、坪単価40万だとしたら、40坪の土地は1,600万の価値があるのです。

更地にする費用や、その他かかった費用を引いても収益はあります。問題があるとしたら、瑕疵物件であるためにたとえ更地にしても評価額は下がり、2割から5割の安値になってしまう可能性でしょう。

土地の評価額は、地元の不動産屋などに聞けば知ることができます。そこから計算してみて、放棄するかどうか決めても遅くはありません。

別の相続人ともよく話し合い、適切な分配法を決めれば、同意も得られるかと思います。共同名義で土地を所有するのはおすすめできません。別の相続人が亡くなった場合、今度はその配偶者や子供が土地の権利を引き継ぐわけですから、売ろうとしたときにかなり面倒なことになります。

あなたが土地を相続したいのなら、評価額から計算した金額を支払うなどして、相続放棄の手続きをしてもらうほうがいいでしょう。

瑕疵物件以前に売れないもの

最近、とくに問題になっているのか、過疎地の空き家です。たとえ相続しても、価値がほとんど見込めません。固定資産税だけを払い続けることになってしまいます。

解体の費用は、市街地より多少安いとはいえ、やはり広ければそれなりにかかりますから、負の遺産となってしまうのもしかたないことでしょう。

こういった物件は、相続放棄されることが多くなっています。壊れた廃屋は、地域の美観を損ねるだけでなく、倒壊の危険性もあるので注意が必要です。

できれば相続権のある人間がきちんと管理してくれればいいのですが、放棄されてしまえばそれも難しいことになります。やはりこれからは行政の対策がもっと必要になるでしょう。

瑕疵物件を売却する時期

手紙が3枚
賃貸の部屋で自殺があった場合、二人目の入居者には告知の必要がないなどと言われています。

けれど凄惨な事件や自殺で亡くなった場合、近隣住民はいつまでも覚えているものです。ですから何年経過したら告知義務はなくなるというような、明確な基準はまだありません。

空き家を遺産として受け取ったら、更地にしてしばらく駐車場にしておくというのも可能です。ただし経営するための資本が必要になりますし、更地にする費用や、別の相続人に分ける金額もあるので、最初は大赤字になるでしょう。

ですが孤独死した身内が事件に巻き込まれたのでなければ、数年駐車場として活用すると告知義務はなくなります。

そうなると適正な価格で土地を売却することが可能になりますので、投資の意味でも駐車場経営はよい方法に思われます。